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中古カメラと写真、日々の独り語り

全自動一眼レフ『MINOLTA α-5xi』

幼なじみの友人から聞いた「AF一眼レフのミノルタαは内蔵ストロボが電動で自動収納された」という話がずっと頭に残っていて、ネットでフィルムカメラの情報を探していたら該当する記事に辿り着きました。

lebes.blog.fc2.com

> 3xi、7xiのストロボが、ジャンプアップとでもいうのか
> バネの力で勢いよくポップアップするのに対し、
> 5xiのものは、ギアで起き上がります。その結果として、収納も電動です。
> むしろ逆でしょうか、収納までを電動でやりたかったから、
> バネ駆動からギア駆動になったという。

オートでポップアップした内蔵ストロボをいちいち手で収納するのが面倒臭くて仕方が無かった自分は「現行のデジタル一眼レフでもこんなに便利な機能はない!」とにわかにα-5xiが気になりだして、ヤフオクの出品を探してみました。

ミノルタαシリーズの中古は「グリップが白化してボロボロに崩れる」という持病があり状態の良い個体が少ないのですが、運良く美品を見つける事が出来ました。

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MINOLTA α-5xi

 出品額は70円でしたが、誰とも競り合うことなく1回の入札で落札出来ました。

基本的にフルオートでの使用が前提で、電源ONでグリップを持ってファインダーを覗くと、シャッターボタンを半押ししなくても自動でフォーカスが合焦します。

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MINOLTA α-5xi

自分の部屋で試したら「勝手にズーム」が働いて望遠端にズームしてしまいました。
多分、画面の奥をクローズアップする為に自動でズームしたと思うのですが、どういうアルゴリズムで画角を決めているのか解らないので「勝手にズーム」はOFFにした方がストレスは無さそうです。

レンズの鏡胴を左右に捻ると電動でパワーズームするのはビデオカメラのようでした。

ファインダーから目を離し、グリップセンサーからも手を離すとストロボが自動で収納されました。

フィルム・デジタル共に一眼レフの内蔵ストロボ自動収納は珍しいギミックなのでしばらく遊んでしまいました。

 起動中は終始「ウィーンウィーン」と動作音が鳴っているので、まるでロボコップのようです。(外装が黒ずくめでテカテカしているので、イメージはリメイク版の黒ボディに近いです)

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ROBOCOP

ミノルタはα-7000で実用的なAF一眼レフの先駆者となりニコン・キャノンを出し抜きましたが、xiシリーズでは勢い余って更なる自動化に舵を切ってしまい、自分の意思を撮影に反映したいユーザーから不評を買ってしまったそうです。(←そのやりすぎた感が個人的には好ましいのですが)

趣味性という部分では質実剛健で昔からマニアの強い支持を持つニコンと、他社に先駆けて高性能で廉価なモデルを投入して市場を席巻するキヤノンの両巨頭が徐々にAF一眼レフでも追い上げて、ミノルタは次第に劣勢を強いられたのでしょう。(キヤノンはαショックの後にEOSシリーズを投入して、AF一眼レフの勢力図を塗り替えたそうです)

ピント・絞り・シャッタースピードを全て自分で設定しなければならないフルメカニカル機のXR-8で撮影した時は、面倒だけど写真を撮っている実感を強く感じる事が出来ました。

AF一眼レフが普及し始めた当時、プロやマニアは「AF不要論」を展開したそうですが、一般人はそんな事にお構いなしでAF一眼レフに飛び付いたそうで、やっぱり便利なモノが寡占状態になるのはいつの時代でも同じようです。(昨今では、スマホのカメラがコンデジを駆逐したのも然り…)

α-5xiはプラスチックの塊といった質感で所有欲は満たされませんが、発売された当時はこんな外観のカメラでも数万円を支払っていたんだなぁ…と思うと隔世の感があります。(今や70円ですヨ?)

中古では、フィルム撮影の機能が極限まで向上したプラスチック外装のAFカメラより、機能が発展途上だった金属製MFカメラの方がもてはやされているのは時代の流れでしょうか。

レンズの画角に連動して内蔵ストロボがズームしたり、シャッター半押ししなくてもAFが作動するなど、機能的には現代のデジカメを凌駕する部分もあるので、捨て置くには勿体ない気がしました。

せっかく手に入れたα-5xiに1回くらいはフィルムを通してやりたいので、機会を見つけて撮影に持ち出したいものです。