一眼レフの写ルンです『kenko KF-1N』
フィルムカメラを特集した数年前の古本に、写真用品メーカーのケンコーが発売していた機械式の一眼レフが紹介されていました。
ペンタ部のロゴは小文字混じりの「Kenko」で、見るからに安普請でパチモン臭さが漂っていました。
「ケンコーが一眼レフ?」と気になって調べたところ、中国製一眼レフのOEMで『kenko KF-1N』という機種だと判明しました。
製造元は中国の鳳凰光学(PHENIX)で、ヤシカが海外向けに販売していた『YASHICA FX-3 Super 2000』がベースになっているようです。
鳳凰光学は、20世紀末の中古カメラブームで話題になった『安原一式』の生産メーカーでした。
PHENIX名義でも、KF-1Nとほぼ同じ仕様の『PHENIX DN66』というモデルがありました。
中国製だと粗悪なコピー商品を連想しますが、FX-3 Super 2000は模倣品ではなく正式にヤシカから生産委託されていたようなので、KF-1Nもある程度は品質が担保されているものと思われます。
KF-1NはニコンのFマウントに換装した派生商品ですが、PHENIXはペンタックスKマウント、ミノルタMDマウント、ヤシカ/コンタックスマウントの製品も展開していました。
コシナが『CT-1 Super』をNikon FM10、OLYMPUS OM-2000、RICOH XR-8 Super、Canon T60と各メーカー別にOEMで仕立て直した手法によく似ています。
新品販売時のKF-1Nはオープン価格で、実勢価格は約2万5千円だったようですが、当時は「もう少し金額を上積みしてFM10を買った方がマシ」という評価だったようです(;´д`)
KF-1Nの中古がどれくらいの相場か調べていたら、ヤフオクで新品同様の出品が4000円だったので、開始価格で入札したら誰とも競り合わずに落札する事ができました。(以下の写真は出品情報からの転載です)
Kenko KF-1Nの仕様
KF-1NはニコンのFマウントを採用したフルメカニカル機で、開放測光に対応したTTL中央部重点測光方式の露出計を搭載しています。
フィルム巻き上げ、シャッター速度、絞り、ピント合わせの全てを手動で行う極めてプリミティブなカメラです。
最速のシャッタースピードは1/2000秒で、上位機のKF-2Nは1/4000秒まで使えましたが他の仕様は同一です。
多重露出ボタンと絞り込みが確認出来るプレビューレバーを搭載し、カメラ前面にシンクロターミナルとレンズ着脱ボタンが付いています。
MFでピント合わせするKF-1Nは、ファインダーの視野率が92%、倍率は0.91倍なので、かなり広くて見やすいようです。(AF一眼レフだとNikon F4やF5の倍率が0.7~0.75倍、F90Xが0.78倍、MINOLTA α7700iは0.84倍)
最初は、マップカメラが販売していた無銘でブラックの別注モデル『KF-M1』が欲しかったのですが、中古では見つかりそうにないので、とりあえずKF-1Nを確保することにしました。
2012年にKF-M1が生産終了した時の特価は、ボディ単体で4,980円、Kenko MF 19-35mm F3.5-4.5のレンズセットで9,980円と、投げ売り同然の価格で放出されていたようです。
KF-1Nは所有感に乏しい質感で、とても諭吉さんを出す気にはならないので、新品同様の品を5千円以下で入手出来たのは妥当な金額だったと思います。(落札金額4000円+送料900円で、総額は5千円を切りました)
Fマウントのフルメカニカル機ならFM10が定番ですが、同じコシナOEMのRICOH XR-8 Superを既に持っているので、今回は怖いもの見たさからキワモノのKF-1Nに手を出してみました。
どれだけ実用に耐えるか、フィルムを詰めて撮影するのが今から楽しみです。(いきなりフィルム給送トラブルとかは勘弁して欲しい)