先日「カメラのタカギ 竹の塚店」でヤシカフレックスC型を衝動的にお持ち帰りしてしまいました。
今回は、二眼レフを手に入れるまでの経緯と、ヤシカフレックスC型を触ってみた所感をお届けします。
二眼レフに関心を覚えたきっかけは、2009年に発売された学研の「大人の科学マガジンvol.25 35mm二眼レフカメラ」でした。
数年前に気付いた時には絶版となっており、一時は中古にプレミア価格が付いていました。
最近になって復刻版の「大人の科学マガジン BEST SELECTION 02 35mm二眼レフカメラ」が再販されました。(転売屋、息してる?)
二眼レフへの関心が一番高まったのは昨年の冬で、リコーフレックス ミリオンなどの廉価な中古を探した時期もありました。
二眼レフに熱を上げていた頃は、リコーイメージングスクエア銀座のミニギャラリーに二眼レフを眺めに行った事もありました。
中古の程度と価格に自分の中で折り合いが付かず、しばらくすると二眼レフに対する関心も薄れていきました。
復刻版の「35mm二眼レフカメラ」も発売前に予約していたのですが、今さらトイカメラの二眼レフを使うのもなぁ…と気が変わり、キャンセルしてしまいました。
しばらく二眼レフに関心が向く事も無いだろう…とタカを括っていたのですが、冷めたと思っていた情熱は、完全には消えずに燻り続けていたようです。
中判カメラへの関心
最近ではフィルム撮影を考察した投稿でペンタックス6×7を取り上げたのに触発されて、中古カメラ店をハシゴして現物を触ったり、中古価格の相場を調べていました。
自分が納得出来る状態の中古で、必要なモノを一式揃えると予算が8万円以上必要になる事が解りました。
以前に関心のあった極小一眼レフのauto110や、MF一眼レフで最小の部類に入るPENTAX MXと較べると、6×7の巨大さに持ち歩きの不安を覚えた事もあり、購入には至りませんでした。(比較対象に問題がある気も…)
35mmフィルムに較べると、ブローニーフィルム(120フィルム)はコスパが悪いので、コスパを最優先する自分が手を出す事はあるまい……とタカを括っていたのですが、未体験のフォーマットに対する好奇心が勝りました。
ヤシカフレックスC型の位置付け
衝動的に手に入れたヤシカフレックスC型は、セミオートマットと呼ばれる巻き上げ機構を備えた、ヤシカの二眼レフでは中期に製造された機種でした。
機能的にはローライコードと似通っているようですが、ローライコードが欲しかった訳では無いので、今回は代替品ではありません(^_^;)
初期の二眼レフはフィルムを1コマ分の送り幅で止める機構が無く、裏蓋の赤窓から裏紙の数字を目視して手動で巻き上げを止める必要がありました。
セミオートマット以降に進化した高級機では、フィルムを装填して止まるまで巻き上げると自動的に1コマ目がセットされるオートマットが採用され、巻き上げノブがクランクとなり、巻き上げと同時にシャッターチャージされるセルフコッキングを装備するようになりました。
二眼レフ後期のヤシカマットには、自動復元式のフィルムカウンターやセレン式露出計が内蔵されていました。
赤窓式では古すぎて操作が面倒臭く、オートマットまで進化すると自動化されて味気ない…と感じる自分には、セミオートマットのヤシカフレックスC型が最適でした。
ほとんどの機能が独立している
二眼レフという名前の通り、レンズが上側(ビューレンズ:ファインダー)と下側(テイクレンズ:撮影用)の2つに分かれています。
右側面の左上に巻き上げノブがあり、フィルム1枚分を巻き上げるとロックされて、中央のボタンで解除します。
右端中央のピントリングを回すと、2つのレンズが固定されたボードが前後してピントを合わせる事が出来ます。
巻き上げノブとピントリングの間にある銀色の丸はカウンターのリセットに使います。
左側面の上下のノブは、フィルムスプールの軸受けです。
上面からピントフードの中を覗き込むと、ピントグラスにぼんやりと像が浮かびます。
ネットの情報を調べてヤシカフレックスの動作確認を一通り終えると、ほとんどの機能が独立していて、メカフェチの琴線に触れるものがありました。
連動する機能がほとんどなく、シャッターチャージすら手動で、フィルムの巻き上げを忘れてシャッターを切ると、意図せず二重露光になってしまいます。
「シャッターを切った直後にフィルムを巻き上げておく」といった作法を身体に染み込ませる必要があり、フールプルーフを欠いた構造でした
シャッターボタンひと押しで失敗せず写真が撮れる時代に、
- 露出計で値を計測する(スマホのアプリで代用)
- 絞りとシャッター速度を設定する
- 暗くて見づらいファインダーで画角を決める
- ピントルーペで焦点が合っているか確認する
- ノブを回してフィルムを巻き上げる
- 手動でシャッターをチャージする
- 覚悟を決めてシャッターを切る
という手順を踏まないと写真が撮れないという不便さに、マゾヒスティックな快感を覚えてしまいました。
原始的な120フィルムの不便さ
金属製のパトローネに入った35mmフィルムと異なり、遮光用の裏紙で巻いてあるだけの120フィルムは、撮影完了後に巻き取りが緩んでしまうと隙間から感光してしまう恐れがあります。
フィルムを装填する時は暗所が推奨され、撮影完了後の保存は箱に入れた方が良いとされており、慎重な取扱いを要求されます。
120フィルムの単品売りは稀で、5本セットが主流のようです。
入手しやすい120フィルムでは、3本パックで¥2,180の「Lomography Color Negative 100」のコスパが一番良い気がします。
白黒フィルムには単品売りのILFORD XP-2 400 SUPER 120もありましたが、35mmで使用経験があるので、購入は見送りました。
初めてのブローニーはカラーネガで撮りたかったので、ロモの3本パックを買い求める事になると思います。
色々な点で一線を越えたカメラ
今までは発売時期が自分の生まれ年に近いカメラを集めてきましたが、1955年(昭和30年)に発売されたヤシカフレックスC型は、自分の年を遙かに通り越していました。
金額的には学研の「35mm二眼レフカメラ」3台分相当だったので、完動品の中古としてはリーズナブルだったと思います。
数日前に入手したキエフ4Mは、基本設計は1950年代の技術ですが製造は1981年と新しいものでした。
共に使いづらいカメラですが、その不便さをあえて楽しみたいと思います。
120フィルムの価格や現像とプリントのコストを考えると、気軽にシャッターを切る事は出来ませんが、現状では最新の高性能デジカメよりも低性能で手間のかかる二眼レフに惹かれる気持ちの方が勝ってしまいました。
クラシックカメラをぶら下げていると、傍目には上級者のように見えるので、永遠の初心者でしかない自分には身の丈に合わない気もしますが、気恥ずかしさを乗り越えて撮影に持ち出すつもりです。