先日、自転車で市内を走っていた時に、立ち寄った事の無いハードオフを偶然見つけました。
さっそく入店してジャンク棚を漁ると、Canon FTQLのボディを発見しました。
Canon FTQLは1966年に発売された、絞り込み測光のTTL露出計を内蔵した一眼レフです。
ハードオフのジャンク棚に並んだカメラは何かしら不具合を抱えていますが、手にしたボディは巻き上げレバーがスタックしておらず、電池を入れてバッテリーチェックすると露出計の針が振れました。
動作に問題ない事を確認して、千円の売価に消費税を加えた1,100円でお持ち帰りしました。
ペンタ部正面に彫られたCanonの旧ロゴはペイントが半分くらい剥げていたので、自動車用の黒いラッカー塗料で墨入れしました。
裏蓋を開けて劣化したモルトを貼り直し、クロームメッキをピカールで磨くと、新品のような輝きを取り戻しました。*.*・(n‘∀‘)η*・*
正面左側にある銘板のQLはクイックローディングの頭文字で、フィルムの先端を指定位置に合わせて裏蓋を閉じ、フィルムを巻き上げると自動でローディングされます。
後にAF一眼レフで一般的になるオートローディングと同様の機構が、1966年に発売されたFTQLに実装されていたのは驚きでした。
後継機でクイックローディングが採用されなかった理由は謎ですが、複雑な機構がコスト高を招き、簡単にフィルム装填出来るメリットを打ち消してしまったのかも知れません。
ファインダーを覗くとプリズム腐食の汚れが視界に入りますが、ピント合わせと構図決定には支障が無いのでそのまま使うつもりです。
絞り込み測光の一眼レフはヤシカのTL ELECTRO Xを2台所有していますが、以前試写した時に実用上の問題は感じませんでした。
絞り込み測光では露出計の作動時に実際の被写界深度をファインダーで確認出来るので、個人的には開放測光より好ましく感じています。(絞り込んだ時の視界は暗くなりますが)
自動絞りのカメラでは、プレビューレバー or ボタンが無いと実絞りのファインダー像を見る事が出来ないので、自分にとってプレビュー機構の有無は重要な要素です。
キヤノンのマウントと測光方式の変遷は以下にまとめられていますのでご参照下さい。
キヤノンのMF単焦点レンズはプラ鏡胴のNew FDしか持っていないのですが、クラシカルなFTQLには金属製のブリーチロックが似合うので、タムロンのFD 28-80mズームを装着してみました。
自分よりも年上のカメラなので、労りながら撮影に持ち出してやろうと考えています。