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中古カメラと写真、日々の独り語り

APS小型一眼レフ『OLYMPUS Centurion』

哲学堂公園から帰る途中に立ち寄ったレモン社 池袋店のジャンク棚で、APSフィルムの小型一眼レフ『OLYMPUS Centurion』(以下、センチュリオン)を見かけました。

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オリンパスのLシリーズより二回りくらい小型のサイズに興味を惹かれましたが、同店のジャンクは動作確認不可で、以前に故障品を掴まされたのでスルーしました。

帰宅してからヤフオクセンチュリオンの出品を探しました。

OLYMPUS Centurion

その日のうちに、動作未確認のセンチュリオンを490円で落札して、手元に届いてから電池を入れて動作確認すると、全ての機能が生きていました∩(・ω・)∩

OLYMPUS Centurion

センチュリオンの発売は平成8年(1996年)で、ボディと一体型の4倍ズームは25~100mm(35mm判換算で31~125mm)です。

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寸法は幅118×高さ83×奥行111mm、重量は460gと小型軽量です。

OLYMPUS Centurion

『超小型の一眼レフ』といえばPENTAX auto110が随一ですが、センチュリオンの大きさも一眼レフでは際立っています。

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©KADOKAWA ASCII Research Laboratories, Inc. 2022

auto110はポケットカメラの小型フィルム(110フィルム)を使用するので、画質ではAPSセンチュリオンが優位です。

APSフィルムの採用で実現した、センチュリオンのコンパクトなボディに新たな可能性を感じましたが、既に未来を閉ざされて終焉を迎えた規格なので、一抹の寂しさを覚えました(´・ω・`)

OLYMPUS L-2とのサイズ比較

単体の写真ではコンパクトさが伝わらないので、手持ちのOLYMPUS L-2と並べてみました。

OLYMPUS CenturionとL-2

L-2の中にセンチュリオンが入りそうです(入れてどうする)

入れ子と言えばマトリョーシカや…

マトリョーシカ


闘士ゴーディアン』のらっきょうのような合体が思い出されます。

闘士ゴーディアン

センチュリオンと言えば、ミリオタ的にはイギリス戦車の方が馴染み深いのではないでしょうか。

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センチュリオン中戦車

APSフィルムのカメラについて

当ブログではAPSカメラを何台も紹介してきましたが、スマホの普及でカメラそのものが衰退し、APSフィルムについてご存じない読者もおられるかも知れないので、ここでおさらいします。

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APS=アドバンストフォトシステム

APSアドバンストフォトシステム(先進写真機構)は、35mmフィルム(135フィルム)を進化させた規格として1996年に販売が開始されました。

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撮影データの磁気記録

規格名はIX240で、IXはInformation Exchangeの頭文字です。

撮影時の設定、日付・時間などを磁気記録する機能を表しています。

フィルムのワンタッチ装填と自動ローディング

APSフィルムはフィルム室にカートリッジを入れて、フタを締めれば自動ローディングされます。

フィルムのローディングに失敗して何も写っていなかった…という悲劇を防いでくれます。

フィルム装填時はフタがロックされ、不意にフタが空いてフィルムが露光してしまう事故を防止してくれます。

フィルムを撮り切るか、強制的に途中巻き戻ししないとフィルムは取り出せません。

電池切れとなったAPSカメラが中古で放出された時に、撮影途中のフィルムが入ったままになっている事が多いのは、この機構が原因です。

プリントタイプ(C/H/P)の切替

APSフィルムはC/H/Pの3種類のプリントタイプを任意に切り替えて撮影出来ます。

APS-C

Cはクラシックで、左右がトリミングされて35mmフィルムに準拠する3:2の画角でプリントされます。

デジカメのセンサーサイズ・APS-Cはこの寸法が元になっています。

APS-H

Hはハイビジョンで、フィルム面をフルに使う16:9の画角でプリントされます。

フルサイズのセンサーが普及する前は、APS-Hサイズが大面積のセンサーとして、キヤノン EOS-1Dシリーズ等に採用されていました。

APS-P

Pはパノラマで、フィルムの上下をトリミングしたもったいない使い方なのは、135mmフィルムと同様です。

ただし、C/H/P全てのサイズでフィルムはAPS-Hで露光しており、プリントサイズだけを磁気的に記録している点が135フィルムと異なります。

MRC(フィルム途中交換)

MRC=ミッド・ロール・チェンジ(フィルム途中交換)機能を搭載した機種では、APSフィルムの途中交換が可能です。

センチュリオンには搭載されておらず、後継機のCenturion Sで採用されました。

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センチュリオンの外観

レンズ一体型のセンチュリオンはボタンも少なく、つるんとした外観です。

OLYMPUS Centurion

グリップのゴムコーティングは加水分解でベトベトしていたので、コンパウンドでこそぎ落としました。

OLYMPUS Centurion

クオーツデートは2019年以降も設定可能でした。(さすが先進写真機構)

OLYMPUS Centurion

レンズの鏡胴が長いので、内蔵フラッシュは高く跳ね上がります。

OLYMPUS Centurion

ロック付きの電池フタは内部にCR123Aリチウム電池が2本入ります。

大きい方のフタはフィルム室です。

OLYMPUS Centurion

センチュリオンの撮影機会

APSフィルムのストックは4本ありますが、全て期限切れです。

過去の経験から、期限切れのAPSフィルムは露出補正をプラスにしないと写真が真っ暗になる事が解りました。

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APSコンパクトのKonica Revio Ⅱでは+1.5で意外なほど鮮明な写真が撮れました。

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センチュリオンにも逆光補正の+1.5ボタンがあるので、APSフィルムを装填して持ち出す機会が訪れるかも知れません。

その時が来たら、フィルムを現像してセンチュリオンで撮影した写真をお届けします。